健康家族の最新医療情報
医療の進歩は日進月歩、家族の健康に有益な最新情報を集めてい ます。

生殖補助医療

激減するAID(非配偶者間人工授精)施設

AID(非配偶者間人工授精)とは
不妊に悩む夫婦のために
第三者のボランティアが提供する
精子を使って人工授精するというもの。


日本では
慶応大学病院が1948年に
最初にAIDを実施してから
今年(2008年)で60年です。


第三者の精子を使うという
倫理的な問題が指摘され続けながらも
長い間実施され続け
これまでに全国で
1万人以上が生まれたとされています。


2001年〜2005年の統計では
年間約1500組の夫婦
4300件のAIDが実施され
毎年約130人の赤ちゃんが生まれています。


ここにきて
AID(非配偶者間人工授精)施設が
減少するという傾向を見せていますが
2008年現在の実施施設は
全国で14施設
5年前に比べて半減しているということです。


AID施設の激減の理由は
精子提供者(ドナー)を匿名とする従来の方法
子どもの「出自を知る権利」に対応していないことが
子どもの福祉」に反するとして
ドナー開示を求める声が
高まっていることにあります。


2003年ころから
AIDで生まれた人たちが
遺伝上の父親を知りたい」との声を上げ始め
当事者の会」なども結成されているようです。


しかし共同通信の調査によれば
ドナーのなり手というのは
AID実施施設関連の学生やOBが主体で
その他には医薬品・検査関連の会社員など。


彼らボランティアにしてみれば
提供1回につき
1万5千円〜3万円程度の
報酬が支払われるアルバイトといったところ。


ドナーの開示が法制化されれば
ドナーのプライバシーが守られなくなり
将来の生活を脅かすことにもなりかねません。


医師の受け止め方もさまざまで

ドナー開示の法律ができたらAIDはやめる。
精子提供者がなくなるので継続は困難

出自を知る権利は大切。
ドナー開示の法律ができたら
開示を受け入れるドナーが現れるまで
AIDは実施はしない
」など。


医療現場も揺れているようです。


最新医療情報ガイド


AIDで生まれた当事者の会の
40代の女性の言葉が伝えられていました。
「親子の間にウソがないことが基本。
血はつながっていなくても
深い愛情でつながっていることを伝えることが大切」


死後懐胎子

死後懐胎子とは、
冷凍等の方法により
保存した精子を提供した男性が死亡した後に、
女性が人工授精等の生殖補助医療により
妊娠し、出産した子のことである

ということになっています。


法律上、
保存精子の提供者が
その子の父となりうるか否かにつき、
争いがあるところですが、
倫理・宗教等の問題も複雑に絡み合い
論争の火種が消えることはなさそうです。


民法772条2項の解釈により、
夫の死亡を含む
婚姻解消から300日以内に出産した子は、
嫡出子と推定されます。


300日を過ぎると、
生物学上は、提供者が父であることを証明できても、
法律上は、提供者は父とは認められないわけです。


しかし、この死後懐胎子の問題の本質は
300日を過ぎているか否か、という問題ではなく
懐胎した時点で、精子提供者が生存しているか死亡しているか
というところにあるのでしょう。


懐胎以前に提供者が死亡しているのだから、
親権につき、
提供者が死後懐胎子の親権者とはなりえず、
扶養等につき、
死後懐胎子は提供者から監護、養育及び扶養を受けることはなく、
相続につき、
死後懐胎子は提供者の相続人になりえないから、
民法の実親子に関する法制は、
死後懐胎子とその提供者との親子関係を想定していない

という判決がありました。


死後懐胎子については
立法がない以上、親子関係は認められない
という最高裁の判決でした。


現実には
生殖補助医療の技術を持ってすれば、
夫の死から長期間経過した後であっても
夫の子を出産することが可能です。


しかし、この問題は
「人間とは、親子とは、生命とは何か」
を根本から揺るがす問題であるだけに
倫理・宗教・科学・哲学等
あらゆる人類の智慧を総括して
取り組まなければならない難しい問題です。



医療の進歩は人類に難しい問題を
投げかける結果にもなりますね。